ボクの話さないルール『だまりんボク』のはなし

images-2.jpegUnknown.jpeg



 ボクの話さないルール

  インタビュー☆だまりんボク
  語り手 ちあき

プルスアルハの隠れた人気作「だまりんボク」.
言わないけれど、いろんな気持ちを感じているボクの話.最初に種明かしをすると、「だまりんボク」は「だまりんチアキ」の話で、実体験がベースになっています.小学生のとき、学校で先生の前では一切話をしない、いわゆる「場面かん黙」の子でした.
このコラムでは、チアキの体験と、お話にまつわるあれこれをまとめました。


ー「だまりんチアキ」はいつからいつまで?

小学校3年生の途中から、卒業まで.がんばりました.最初は、大人から見ると些細な(でも自分にとっては一大事な)出来事がきっかけでした.

ーかん黙しているときは、どんなかんじでだったのでしょう?

・・・自分を守るための手だてだったのかな、と思います.
もともと吃音を気にしていましたし、例えば家の中のことなど「言ってはいけないことをたくさん抱えている」という感覚があって、いつもビクビク過ごしていたので、あてられない、怒られない、ことで少し安心できたのかなと思います.
周りの大人が期待する子ども像をいつも考えて行動していて、でも何て言葉を返したらいいんだろう?という状況もあって・・・それも話さなければ悩まずにすみました.

ー周りの対応はどうでしたか?

幸い、誰も話せ話せ、と言わず、授業であてられることもなく.
自分は返事を返さないのですが、毎朝、先生が「チアキおはよう」と、ある日は「おっ今日はすっきりした顔してんな」と変わらず声をかけてくれて、そういう対応がありがたかったです.
高学年くらいになると、先生に迷惑をかけている感覚が大きくなったり、子ども同士の中でも、話さないことでの不都合が増えてきたりして、葛藤がありましたが、自分の話さないルールの方が強くて、卒業まで一言も発しませんでした.

ー学校で話さない以外では?

仲のよい友達同士の中では話をしていましたし遊んでました.高学年の頃、度胸試しが流行っていて、そこで先生には言えないような遊びを通して、仲間の中でのポジションを確立していたと思います.勉強もでき、学校は休まず通っていました.同級生が、話をしないことをうまい具合に放っておいてくれたというのもよかったと思います.

ー改めて、だまりんボクに戻ります.どんなふうにアイデアがおりてきたのでしょう?

プログラムで使うお話づくりのために、診療所で出会った子どもたちや自分の子ども時代を振り返っているうちに生まれました.同じときにできたのが「ボクの冒険のはじまり」「ボクのせいかも(うつ病の絵本)」です.
ストーリーはひらめいた順に書いたものをそのままを採用、タイトルだけ後でつけました.

ー気に入っているシーンは?

ひとつは「ボクは今嬉しい、もっと笑っちゃおうかな」のシーン.かん黙なので、大笑いとかできないんです.楽しいことがあって笑いそうになっても、あかんあかんって.
もうひとつは「ボクは笑っている、本当はイヤな気分なんだけど」のシーン.これはいつもの乗り切りパターンです.笑顔以外の喜怒哀楽をださないと決めていて、とにかく笑って一日が過ぎるのを待ちました.

   だまりんボク イロイロ.jpg

ー「話さないルールが終わったときに何を話そうかな?」という最後のシーンが印象的です.
 チアキの場合は?

中学校になったら話す、と決めていて(これもまた強迫のルールですが・・・)、入学後は話すようになりました.最初の言葉は、出席確認の「はい」だったと思います.でも、自分の話やきもちは一切話さないと決めていました.
それから少しずつ変化があって、3年生では、友達に吉本興行をすすめられるような、よく話す子になっていました.関西なもので.

ー「だまりんボク」を読んでくださる大人の方へ

かん黙の子に限らず、いろんなうらはらな気持ちを抱えている.困っていても言えないとか、我慢したり、周りを気遣ったり.言葉足らずの子や、手のかからない子にこそ、ふとしたときに声をかけて欲しいと思います.
そして、子どものルールが解けるには、その子のタイミングがあります.

ー最後にボクへひとことを

「ボクのタイミングでいいんやで」と.そして、もしかしたら、ルールを外しても大丈夫な相手もいるかもしれない、きっといるということも、覚えておいてくれたらと思います.


*かん黙は、言葉を話したり理解する能力はほぼ正常であるにもかかわらず、幼稚園・保育園や学校などの社会的な状況で声を出したり話したりすることができない状態を言います.このコラムではチアキの場合をとりあげました.背景や経過はひとりひとり違いますので、そのお子さんにあわせた関わりが必要です.
*後日談として、かんもく当時の小学校の先生と、大人になってから会う機会がありました。「ようしゃべるようになったなあ~」と暖かく迎えてくれました.
*絵本の制作にまつわる話を、実体験を絡めながら、少しずつコラムにまとめていきます.


しかくしかく.jpg


× 閉じる